引っ越しにまつわる縁起担ぎのあれこれ

これまで生活のベースであった住居を変えることになる引っ越し。それに伴う不安を払拭し、幸先の良いスタートを切るべく、古来の風習として様々な縁起担ぎが現在に至るまで存続しています。それには主にどのようものが見られるのでしょうか。

引っ越しの流れ

転居するに当たって最初に行うべきは、引っ越し先探しであることは言うまでもありません。興味がわいた物件があれば取引仲介担当の不動産会社を通し、実際の見学すなわち内見を行い、自分の要望にマッチしているかどうか確認することが重要です。

その上で気に入れば、賃貸物件については貸主との賃貸契約、購入物件であれば売主との不動産売買契約を結び、住居を確保するに至ります。

その後、役所および水道・光熱・通信など公共インフラ関連の手続きを行わねばなりません。

役所では、これまでの住所から引き払うことを意味する転出届と、新しい住所に入居する旨の申し出に当たる転入届の提出が必要です。また、それに伴って国民健康保険・印鑑登録・児童手当・原付自動車などの住所変更手続きも必要に応じ、並行して行います。

水道・電気・ガス・通信回線などの利用契約に関しても、転出元においては解約、転入先においては契約開始の手続きが不可欠です。また、郵送物の転送申し込みや火災・地震保険など、住所情報が扱われている契約全般に関して各々に応じた申し出が必要となります。

これら手続き上の変更を進めながら家財の整理・処分を行い、転居当日に新居へ搬入というスケジュールを取ることになります。

慣習的な引っ越し関連の縁起担ぎ

前項に示したような流れが、引っ越しに前後して行うべき一般的な事項です。しかし、それらを卒なくこなしていたとしても、これから始まる新しい住まいでの新生活について幾許かの不安を覚えるものでしょう。

古くから人々は、そのような心配ごとに対し様々な縁起担ぎを行うことで、不安を払拭してきました。現在でも存続する縁起担ぎとしては、主に以下のようなものが見られます。

まず、定番と言えるのは、ご近所に配る引っ越し蕎麦でしょう。これは江戸時代頃から定着してきた風習とされ、「側(そば)に越してきましたので、これから宜しくお願いします」という近隣の方々への挨拶の意味合いが込められていると伝えられています。

家財の搬入時に、ほうきを持参するのも縁起を担ぐ行為の一つに相当します。ほうきには、邪気を払うと共に福を集める効果があるものと、伝統的に考えられているわけです。同様に厄払いとして、引っ越し時に玄関や部屋の四隅に盛り塩を置くという風習も見られます。

釜すなわち現代で言うところの炊飯器を、吉日に新居へ運び入れるというゲン担ぎが行われる例もあります。これには「食べ物に困る生活になってしまわないように」という意味が込められているとされています。同じような願いを込めた行為としては他にも、引っ越しに際して米や調味料を新しいものに変えるという風習もあります。

家族が健康で過ごせるようにとの願いを込めて、おもと(万年青)と呼ばれる観葉植物を新しい住居に飾るのも、古くから伝わる縁起的慣習の1つです。

まとめ

以上のように、主な引っ越しの流れにも触れながら、古くから引っ越し時に行われてきた縁起担ぎについて確認してまいりました。実質的にやるべき転出・転居関連の事項を欠かさず、その上でゲンを担ぐ風習を取り入れれば、現実的にも気分的にも不安のない新生活がスタートできるものと思われます。